化学物質とアトピー
乳幼児が生後まもなくアトピー性皮膚炎になることを考えると、アレルギーは遺伝が原因のひとつであることは疑いはないようです。
しかし近年、もともとアレルギーを持っていない人が突然アトピーを発症したりするケースも、お客様からの声を伺っていても非常に多いように思われます。
それでは、なぜ成人してからアレルギー体質になることがあるのでしょうか。
アレルギーは白血球(リンパ球)であるTh1細胞とTh2細胞の働きのバランスが崩れ、Th2細胞が優位な状態になることによって起こります。Th2が優位になると、かゆみや炎症の原因となるIgE抗体の量が増加します。
そしてTh2優位になる原因は、近年の研究により、
- ストレス
- 化学物質
- 現代型の生活習慣
によるものなどと言われています。
ストレスに関しては「ストレスとアトピー1」でご説明いたしましたとおり、アドレナリンがTh1の働きを抑えるためにTh2優位になることによりますが、今回は化学物質についてご紹介したいと思います。
化学物質には皮膚や粘膜などに刺激を与えるものが多くあります。それらの物質が体に付着すると、接触過敏反応を起こします。
これはTh1による反応で、アレルギーでない人でも起きる反応です。皮膚であれば、かぶれや接触皮膚炎などを起こします。
しかし、長期間同じ化学物質の刺激を与えると、Th1を制御する樹状細胞と言われる自然免疫担当細胞の働きが弱り、その結果Th2の働きが優位になってしまいます。
Th2が優位になると、かゆみや炎症・浸出液を伴う、いわゆるアトピーやアレルギー性鼻炎・喘息のような症状を発症します。
これが、化学物質の接触による、アレルギー発症の仕組みです。
参考文献:
塩原哲夫:科学物質はTh1Th2バランスにどのような影響を与えるか,皮膚アレルギーフロンティア,Vol4 No3 2006-11,141-147