ストレスとアトピー2

仕事のストレスの多いビジネスマン「ストレスを溜めないようにすればアトピーはよくなるんじゃないの?」

前回、ストレスによるアドレナリン増加がTh2細胞の働きを強め、アトピーの原因となるというお話をしました。

普通に考えればストレスと減らせばアトピーも良くなりそうですが、実は一旦Th2細胞が強くなって免疫バランスが崩れると、ストレスを減らしてもアトピーは良くならないばかりか逆に悪化することがあるのです。


神経のイメージ図皆さんも自律神経というのを聞いたことがあると思います。その自律神経は交感神経と副交感神経の2つの神経に分かれています。

ストレスを強く感じているときは交感神経が優位に働くのですが、ストレスが減り、リラックスすると逆に副交感神経が優位になります。

副交感神経が優位になると、白血球の中のリンパ球が数多く作られるようになります。

リンパ球はガン細胞やウィルスなどを殺したりして体の免疫力を強くしてくれますから、一見いいことづくめに感じます。ところがTh2細胞というのもリンパ球の1種のため、リンパ球が増えることでTh2細胞も一気に増えていきます。

ここで、Th2細胞の働きを抑えるTh1細胞がきちんと働いてくれていればバランスが取れてよいのですが、一旦崩れた免疫バランスは、なかなか元に戻ってくれません。

Th2細胞が増えることによりIgE抗体も急激に増えていきます。その結果、アレルゲンにさらに敏感になることで、ヒスタミンやロイコトリエンというかゆみ物質が増加し、炎症が強くなってしまいます。

では、いったいどうすればいいのでしょうか?


本来人間の体は昼間は交感神経が優位になり、夜間は副交感神経が優位になるようにプログラムされていています。それによって免疫機能が正常に働くようにできています。しかし、不規則な生活や過剰なストレスを受けることによって、このバランスが崩れてしまうのです。

規則正しい生活を送る男性このバランスを元に戻すには規則正しい生活をおくることが有効です。つまり昼間適度にストレスを与え交感神経を優位にし、一方、夜はリラックスすることで副交感神経を優位にするのです。

それにより徐々に本来のバランスを取り戻すことができるとのことですが、それを自分でコントロールするのはなかなか難しそうです。

そこで、次回は、免疫バランスを整えるために自分でできる具体的な方法をお話したいと思います。

参考文献:
安保徹(2004)『自律神経と免疫の法則』三和書籍、234p
安保徹(2003)『安保徹の免疫学入門』宝島社、94p

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